無職転生  異世界行ったら本気だす 2<br><br>エリスがしたくて行動を起こすシーンが好き
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 2 (MFブックス)Amazon

理不尽な孫の手(著)
〇あらすじ〇
生前34歳無職ニートだった男は、異世界で生まれ変わり、新たな人生を歩み出していた。そんな男ルーデウスは、フィットア領で一番大きなロアという都市に住むお嬢様の家庭教師の仕事を授かる。家庭教師ぐらい何とかなるだろうと思っていたルーデウスだが、生徒であるお嬢様-エリスは彼の想像を絶する乱暴者だった…!言うことを聞きそうにないエリスを何とか従わせるため、ルーデウスはある作戦を決行することに!ルーデウスの人生始まった以来の重大任務が始まる-。憧れの人生やり直し型転生ファンタジー、第二弾!大反響により早くも登場!

物事を教えるという経験はシルフィと過ごした1年以上の時間の中で積んでいるのに、エリスに教える以前にあいさつすらままならない導入からパンチがきいてて面白く、色々駆使して目的を達しようとするルーデウスと、ルーデウスへの見方がかわるエリスの成長、ギレーヌの濃い数々の体験談と男前なシーン等々楽しかった。
キャラ達の誰かを思い、自分がしたくて行動を起こすシーンが好きだった。

はネタバレを含む感想

大変な始まりでも最後のプレゼントには重ねてきた信頼があって

フィットア領のお嬢様に5年間、勉学を教えきった暁には魔法大学の学費が支払われるという破格の契約を実現させるため第一印象はよくしようとお嬢様=エリスにはじめましてをするが「ふん!」というエリスのあいさつ。そして生意気だからとビンタをくらってしまうルーデウス。エリスにはお転婆なんて表現はぬるすぎる。
傍若無人、作中に何回ルーデウスに暴力をふるったんだろう。
ルーデウスは誘拐事件を再現して2人で窮地に陥った状態から屋敷に戻る間に頼もしい自分をみせようとするが本当に2人は誘拐されてしまう。帰還のストーリーは短い内容でも濃かった。まだ正式に雇用関係になっていない立場を上手く使って、窮地の中エリスをつきはなそうとする展開の中で彼女の本音を引き出すのは合理的だった。常に誰かがいう事を、わがままを聞いてくれるエリスにとって荒療治の出来事だったんだろう。

魔術に憧れを抱いたエリスがルーデウスの授業を聞くようになり、手を付けられなかった他の学問はルーデウスがあの手この手を駆使して教養の必要性を説いて学ばせていく。知的好奇心をくすぐるルーデウスの巧みな指導はみていて面白い。

エリスの誕生日に踊るダンスもルーデウスが彼女の特性を生かした指導をしてなんとか形にしあげることができ、実際のパーティでエリスの「わたくしとおどっていただけませんか?」と言ったお淑やかな姿は積み上げてきた1年以上のルーデウスの努力が実った一面にみえた。

そしてルーデウスの誕生日会をサプライズで企図するエリスが微笑ましく、慎ましく行われた誕生日会で水の魔法で涙を流すルーデウスは大人の対応だった。ここんところのルーデウス視点の語りが面白い。
とびっきり上質な杖をプレゼントされたルーデウスは本心で感謝を伝える。ルーデウスのためにしたくてやったことだからエリスにとっては大成功でしょう。この本で一番好きなシーンだった。

一巻を通して話の一区切りでエリスのステータスの変化が描かれる。後半には好きな人におじいちゃん、ギレーヌに加えてルーデウスが入り、物語の最後の方では大好きな人という項目が加わりルーデウスただ1人が入っていて印象的。本巻ではルーデウス視点とギレーヌ視点がありエリス視点はないけど、彼の視点で描かれるエリスの成長が魅力的。

広がる世界の構図

10万年以上前から現代まで歴史の変遷がルーデウスが読んでいる本を通して紹介されていく。どうしようもなく太刀打ちできないであろう伝説級の登場人物達の紹介や数々の逸話。天大陸や魔大陸、ミスリル大陸について話に出てきても実際に関与するのは当分先だと思っていた。だけど平穏な暮らしから一転、天からおりた一条の光がフィットア領を滅ぼし人々は様々な大陸に転送されてしまう。
家庭教師の後は学校編を描くと思っていたので予想外だけどこれから様々な大陸の話が実際に関わってくるんだろうし先の見通しがたたず冒険心くすぐる期待感がありあり。実際の人々は家族と離れ離れになり、掲示板には伝言や以来が所狭しと貼られていて、悲壮感が漂う雰囲気になっていた。
前世ではこんな劇的な環境の変化を経験していないであろうルーデウス!やりなおすんだ!と心に誓った今の環境でどう歩んでいくのか。
1巻から2巻、加速度的に面白くなってきた。

ファンタジー戦記を求める人に知ってほしい作品

硬派戦記「烙印の紋章」「レオ・アッティール伝」を手掛けてきたの著者の新シリーズ。

タイトルで想起される軽やかな筆致の物語ではない。
じんわり温まる小説や心揺さぶられる小説、熱い小説に読んでいれば幾度出会うことはあれど、はじめから最後まで味読ができた上で上記のどれかの小説たり得るものは、電撃文庫でデビューして20年活躍している杉原智則先生の小説が筆頭に挙げられる。面白いシーンで楽しませることも大事だけど小説の本質は、読ませる文章で深い没入感があり、味わい深く読める小説であると思う。物語を形作るのは文章だから。面白い上に味読ができれば、最高な小説に化ける。というのは杉原先生の本を手に取ってパラパラめくれば直感で全体的に文章がぎっしり詰まっていると分かる。とにかく読ませる文章と()のキャラの心の声によるテンポが堪らない。笑みをこぼしたり、ぐんぐんのめり込んだり、ドン!と考えさせられる心境に陥ったりと地の文の多さが魅力にしか映らない小説。会話の勢いでごまかさず、紛れもなく地の文で形作る物語で勝負している小説。
物語は、英雄の1人が災厄を阻止した平定後、敗戦国に立って目のあたりにした事実から自身の正義に問いかけ、悩み、虚飾に満ちた真実にメスを入れる物語。現地に立ってみて体感することは、真実は事実を曇らせるということ。読者の現代に通底するテーマがあり、現実に影響を及ぼす力があるライトノベル。
イラストレーターをかえた2年ぶりの続刊に、作品を追っていた多くの読者が歓声を上げた。

少しでも気になったら、1巻の熱いAmazonレビューの数々をご一読ください!
3巻は2年ぶりの続刊であるにもかかわらず1巻よりも星の数が多いのでファンの方々がどれだけ切望されていたか伝わってくるかのようです。著者はブログやTwitterをやっておらず宣伝は発売時の公式アナウンスだけなので多くの口コミが集まるのはうれしい限り。

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