無職転生 異世界行ったら本気だす 6<br><br>オルステッドの強さに、今まで必死に練磨してきた自分が否定される
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理不尽な孫の手(著/文)
〇あらすじ〇
ルーデウスの前に現れた人神によると、侍女リーリャと妹アイシャがシーローン王国に抑留されているらしい。真偽を確かめに王国を訪れたルーデウスが見たのは、リーリャの面影を持つ少女の泣き叫ぶ姿だった……!?

基本ルーデウス視点で語られるが、今までパウロ、ギレーヌと別の視点があった。とうとう本巻でいつか語ってくれるであう期待していた人物の視点が初めて登場したのでシーンと相まって感動した。

はネタバレを含む感想

変態な兄だと思っていたアイシャだったが・・・

人神の助言に従い、シーローン王国で抑留されていたリーリャとアイシャに会うルーデウス。
アイシャは、異母妹。抑留といっても不自由な生活をしているわけでもないらしくリーリャはアイシャがルーデウスに仕えることができるよう幼少時からできる限り徹底して教育してきた。
ルーデウスに敬意を表するリーリャはアイシャに、いかに兄がすごい人物であるか教え聞かせてきたが、ある日リーリャが隠し持っていたルーデウスの宝物をアイシャが発見してしまう。
ルーデウスの宝物と聞いて何を浮かべるだろうか。
幼少時ロキシーから魔術を教わっていた時にルーデウスが盗んだ彼女の御神体・・・すなわちパンツである。
偽名を使うルーデウスに助けられたアイシャだけど最終的に変態な兄=救ってくれたルーデウスだと気づく。
変態な兄というマイナス面よりも、ルーデウスと関わって気づけた兄のすばらしさのプラス面が上回り
最後には

じゃあね、お兄ちゃん!また会おうね!約束だよ!

とわかれたのでなによりだね。偽名を使っていたルーデウスが本当の兄であることを既に看破していたアイシャが、ルーデウスが信頼できる兄であるか試していたことに、驚きを隠せない。
しかもアイシャは自分が周りからどう見られているか理解したうえで早くも女の武器とか自分の容姿を生かして立ち回っているあざとさをもっている。将来多くの男を手玉にとりそうなポンシャルをもう発揮しておられる、将来が楽しみな異母妹だ。

絶対的強者に心臓を刺し貫かれるルーデウス

この世界の七大列強第二位オルステッドと仮面をつけた女性と出会ってしまう。
歴戦の猛者ルイジェルドを体術で倒し、エリスの磨いてきた剣術をカウンタ一発で決めてから、簡単にルーデウスの胸を穿つ。
圧倒的な強さに、今まで必死に練磨してきた自分が否定される。無に帰すだけだと。無力であると。
血反吐を吐くルーデウスがエリスに抱えられている口絵があるんだけど、この時のぽたぽた涙を落とすエリスは、ルーデウスに恋慕の情を抱いていただけにただ叫び、落涙するばかり・・・こんなあっさりと大切な人を失いそうになるってのが旅の途中であるんだなぁと、伝聞で知っていた強者の存在を知らしめるシーンだった。
ここがたぶん無職転生のアニメpvで描かれていたシーンだろうか。

仮面女の気まぐれの一言でルーデウスは一命をとりとめる。

エリスは旅立ってしまう・・・残された者の気持ち

フィットア領に戻ってエリスの父と領主は亡くなっていることを知る。ギレーヌとの再会。
フィットア領に送り届ける約束で共に行動していたルイジェルドは役目を終えお別れとなった。
スペルド族の名誉回復の一助を担ってくれたルーデウスとエリスにただ感謝とかっこいいセリフを残して去っていったルイジェルド・・・さて再会はあるのか。

家族がいなくなったエリスにのしかかる、望まぬ政略結婚。
ルーデウスとエリスが共にいる契りがなくなろうとしていることにエリスは焦る。ここでもうエリスにはルーデウスしかいないと実感し、ひきとめるために体を預ける。
なんといってもエリス視点の語りが初めてだったのでやっときたかという思い。エリスは口下手な方で、恋する乙女のようなしぐさは描かれても心の声はなかった。ルーデウスと出会ってから今までの心情の変化がエリス視点で語られて、初の視点という期待感と相まって感動した。

エリスはルーデウスを愛しているのに、今の彼にはつりあわない、もっと強くなって自信をもって隣に並ぶために剣の聖地に旅立ってしまう。 残されたルーデウスはエリスに捨てられたと勘違いしてしまう。
エリスの置き手紙は大事な情報が抜け落ちててルーデウスは勘違いしちゃいますよ・・・

味わい深い物語を求める人に

硬派戦記「烙印の紋章」「レオ・アッティール伝」を手掛けてきたの著者の新シリーズ。

タイトルで想起される軽やかな筆致の物語ではない。
じんわり温まる小説や心揺さぶられる小説、熱い小説に読んでいれば幾度出会うことはあれど、はじめから最後まで味読ができた上で上記のどれかの小説たり得るものは、電撃文庫でデビューして20年活躍している杉原智則先生の小説が筆頭に挙げられる。面白いシーンで楽しませることも大事だけど小説の本質は、読ませる文章で深い没入感があり、味わい深く読める小説であると思う。物語を形作るのは文章だから。面白い上に味読ができれば、最高な小説に化ける。というのは杉原先生の本を手に取ってパラパラめくれば直感で全体的に文章がぎっしり詰まっていると分かる。とにかく読ませる文章と()のキャラの心の声によるテンポが堪らない。笑みをこぼしたり、ぐんぐんのめり込んだり、ドン!と考えさせられる心境に陥ったりと地の文の多さが魅力にしか映らない小説。会話の勢いでごまかさず、紛れもなく地の文で形作る物語で勝負している小説。
物語は、英雄の1人が災厄を阻止した平定後、敗戦国に立って目のあたりにした事実から自身の正義に問いかけ、悩み、虚飾に満ちた真実にメスを入れる物語。現地に立ってみて体感することは、真実は事実を曇らせるということ。読者の現代に通底するテーマがあり、現実に影響を及ぼす力があるライトノベル。
イラストレーターをかえた2年ぶりの続刊に、作品を追っていた多くの読者が歓声を上げた。

少しでも気になったら、1巻の熱いAmazonレビューの数々をご一読ください!
3巻は2年ぶりの続刊であるにもかかわらず1巻よりも星の数が多いのでファンの方々がどれだけ切望されていたか伝わってくるかのようです。著者はブログやTwitterをやっておらず宣伝は発売時の公式アナウンスだけなので多くの口コミが集まるのはうれしい限り。

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