
吸血鬼に天国はない(2) (電撃文庫)Amazon
周藤 蓮(著/文)ニリツ(イラスト)
〇あらすじ〇
「「ハッピーニューイヤー」」
降りしきる雪とともに訪れた新年。吸血鬼ルーミーを因縁と陰謀の中から救い出し、日常へと回帰したシーモア。騒々しい運び屋仕事の中で、二人はぎこちなくも幸福な日々を送っていた。
だがそんな日常も長くは続かない。
マフィアに追われ、逃げ込んできた双子のバーズアイ姉妹。人を傷つけないと誓ったことによって、徐々に迫り来るルーミーの飢えの限界。
緩やかに、しかし確かに平穏の終わりが近づく中で、シーモアたちの前に姿を現す最悪の敵『吸血鬼狩り』。
選び取った幸福の中で、シーモアは更なる決断を求められることになる。
人と人ならざるものの恋物語、第二弾。
1巻で触れた触れた心臓の温かさ、生きている証である鼓動、人の尊い純粋な一面に感化されたルーミーの信念の度合いが物語を通じて大いに響きました。誓った約束(理性)と必然的に訪れる飢え(本能)との葛藤。そこで周りの人が、人という生き物の美しさと醜さを提示していくことで見えてくる道。そこに至るまでのつらく美しい過程が面白く、達筆な情景描写も相まってすてきでした。