豚のレバーは加熱しろ<br><br>豚さんとジェスが尊い
豚のレバーは加熱しろ (電撃文庫)Amazon

逆井 卓馬(著/文)遠坂 あさぎ(イラスト)
〇あらすじ〇
豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!
 豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。
 ブヒッ! かわいい! 豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の……。
「あの、心の声が聞こえていますが……」
 まずい! 欲望がだだ漏れだ!
「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」
 え、ちょっ……!?
 まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う~ん、豚でいるのも悪くないな?
 これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険……のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?

心根がとても優しいジェスと、欲望だだもれで機転が利く豚さんとのかかわりが微笑ましく、話が進むほど物語に魅せられる意味で思うところが募っていく、心を揺さぶられるものだった。
豚のレバーを加熱しろ。このタイトルにセンスを感じて文面にもラノベ好きの読者の心を突き刺す豚さんの地の文が散りばめられていて魅力的だった。
あとがき2行目でやっぱり先生ならではの物語だと思った。最高です。

公式pv

はネタバレを含む感想

豚さんとジェスが尊い

異世界に転生した豚に無上の優しさで接してくれるジェス。豚で中身が日本人理系男子でも関係なく1人の人間として接してくれるジェス。自分の身より豚の身を案じるジェス。豚さんとジェスの関わりで何回ジェスが豚を思って涙しただろうか。生来の天使様のように映って見えた。
度々の豚さんの下心からくる妄想が心を読めるジェスには筒抜けだけど…ジェスにとっては、ただ豚さんが傍にいてくれるだけでとても幸せのようで、豚さんとジェスが望む限りはその幸せがずっと続けばいいなぁと思っていた。
対して置かれている環境は酷だった。
王朝に身をささげなければならないジェス。道中にいる悪逆無道なイェスマ狩りの輩。
加えてジェスと過ごした日々は短かったので、より一層ジェスと豚さんの関わりが尊かった。
はじめはジェスの優しさは豚さんにだけ特別におくられるのではなく、他の人にも同じくらいの優しさで接するんだろうと思ったけど物語が進むごとに明らかになってくる事実からジェスの儚くて、特別な思いがあふれていて最後のジェスの願いは豚さんと同じで、感情に身を任せたらどんだけ幸せか共感できて苦しいものだった。
短かった日々だけど2人の中で芽生えた特別な思いは安っぽく割りきれるものではない。
最後の別れのシーンでは流麗なイラストと相まって感極まるシーンだった。

イェスマみんなが全うな幸せを享受できる世界を望む

ブレースのシーンは短かったけど強烈なインパクトがあった。最後にはイェスマで生まれてしまった自分を卑下してしまっていた。豚さんの世界にいきたいと願い、ジェスと豚さんの幸せを願って身を挺して去ってしまったーーー感謝の言葉を添えて。イェスマにとって理不尽な世界だと思っていたけど王様から告げられた社会の仕組みは理にかなっていた。理系男子が正しい判断といえるだろうと達観して言えるほどの。
ひどい話だと思いつつも変えられる力がなく最後はジェスの幸せを願って終わったが、なんと予想するに感動のお別れで終わった初稿が編集されてまた異世界に戻る展開になりそう!?
こんな世界はまちがっている。次に戻ったら世界を変えるとヴァンダル画廊街の奇跡のエナ・ウィンズベルのように豚さんは言うんだろうか。何か反旗を翻すのか、ジェスを後押しするのか、なんにせよ2巻できっと再会してくれるんだろうからうれしいかぎり。

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