リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀<br><br>破壊と再生を繰り返して命を縮めていく
リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀Amazon

ナフセ(著/文)吟(イラスト)わいっしゅ(世界観イラスト)cell(メカニックデザイン)
〇あらすじ〇
旧世界の遺跡で出会った謎の美女《アルファ》の助けでようやく正式なハンターとなったアキラ。
 アルファのサポートに加え、着用者に驚異的な身体能力を与える新装備《強化服》を手に入れたことで、アキラはハンターとして飛躍的に成長していく。
 そんなアキラに新たな試練が待ち受ける。荒野を巡回中の急報――それは遺跡から大規模なモンスターの群れがクガマヤマ都市へ侵攻しているというもので!?
 無理無茶無謀が揃った危険な戦場で、アキラは自らの信念に従い躊躇わず己の命を賭ける!

戦闘時の覚悟の重さと克明な描写が魅力で迫力が自然と映像となって押し寄せてくるような熱量があった。1巻での話が膨らんで面白く、新しいハンター達との出会いもあり今後の流れが楽しみ。
シリーズ通して各人の心の動きを丁寧に描写しているのが印象的で大なり小なり物語が動くどのシーンも好きだな。

はネタバレを含む感想

救ってもらった恩には変わりない

1巻の最後の方で、モンスターの大群に二度も襲われて商人とアキラで戦線を維持してきたが、綻びは膨れ上がって万事休すの状態だったところを緊急依頼を受けたエレナとサラの救援で一命をとりとめたアキラ達だった。
この戦いについてアルファは勝率があるという一言のみだったくらいなので危ない局面だったのだと思う。
こうしてアキラが助けた2人に救われる巡り合わせで、エレナとサラは恩人が誰なのか知らないんだから読者視点だと微笑ましく映ってしまうな。アキラが自ら明かすことはなく、エレナとサラがアキラが使用している回復薬と弾丸を見てひょっとしたら・・・と気にかける展開は好きだった。
洞察力に長けたよろず屋のシズカはアキラにかまをかけてエレナとサラの恩人であることを見破ってしまうのでさすがだと思うし、面倒見がよく多くのハンター見守って、見届けて、見送ってきたシズカはとても頼りになるお姉さんだ。ふと、店にきたらハンター稼業のことで相談したくなるような。そんな人柄が分かる描写は2巻でもある。今後アキラのハンターランクが上がったら通うことがなくなってしまうんだろうか。未来を想像して一抹の憂いを抱く。
エレナとサラは、アキラが色々思うことがあって意図して恩人であることをひた隠しにしているのを忖度しているが感謝の気持ちを告げたい一心から理詰めでアキラから事実を引き出したシーン。恩人に感謝の言葉言えて安堵する2人と、対して罪悪感を覚えるアキラの心中の対比が印象的だった。アキラは当時2人を助けるために輩を射止めたのではなく、輩を殺す理由に彼女たちを利用したからだ。そんなことを言えないアキラは罪悪感に苛まれているが、事実を告げてもきっとエレナとサラの恩人への気持ちは変わらないと思う。
だって、アキラがいなければひどい運命を辿っていたと思うし、彼に助けてもらった恩には変わりないのだから。

自我が崩壊したら縋る対象が必要だ

徒党のボスとして奮闘するシェリルだが度重なる重圧と、アキラが招いた問題によりとうとう体面を保ってられず疲弊しきった心は粉々に。予想外のシェリルの様子にあたふたするアキラは、最近シズカにされた抱擁からわく安心感を思い出してシェリルを抱きしめる。自我が崩壊したシェリルにとって縋る対象としてアキラは大きく見えたんだろう。部屋では涙ながらのシェリルの懇願に気圧され、思わず助けるといったアキラ。
アキラの思考の誘導に成功していると書いてあるけど様相からみるにもうシェリルはアキラに依存して安心と自身を取り戻しているようだ。もう、ハンター稼業から帰ってきたアキラをシェリルが家庭的に支える構図でいいと思う(願望) シェリルはアキラに会うたびに気にかけてもらえるよう言葉だけでなく身振り手振りで愛嬌をふりまいているけれど、これっぽっちもアキラに響いていないのが不憫なんだけど、シェリルはめげずに工夫を試みようとしてるから応援したい。アキラが何かのきっかけで今までのシェリルの行き届いた心配りに気づく展開があったらいいなぁ

ハンター徒党『ドランカム』のメンバーたち

正義感が強い直情径行のチームリーダーカツヤの存在は、もう登場シーンから今後の物語を盛り上げる立役者になるんだと予想してわくわくしてる。他のハンターと口喧嘩しているカツヤを殴って黙らせるユミナも面白い。
幼少期からの知り合いのようでカツヤのことをよく分かっている。殴るのが場を鎮めるのに手っ取り早いんだろうけど、拳で愛を語っているように見えた(妄想)
同じドランカムのメンバーでカツヤにひよこのようについていくアイリという存在。もうこの3人の冒険談だけで面白い話ができそうだ。

破壊と再生を繰り返して命を縮めていく

都市に襲い掛かる大規模なモンスターの大群。高ハンターランクたちと都市の防衛軍が出ている前線は、都市の周回をしてモンスターを退治する依頼を受けていたアキラたちにとっては危険でみんな安全な都市に帰ろとしているのにアキラただ1人で戦地にいくという。かつて輩を殺す理由に使ったエレナとサラが戦っていると知って自身に恥じない生き方をするためにアルファの警告を無視して決意したアキラの覚悟が重い。強化服の操作をアルファが乗っ取って強制的に帰還できるけど、アキラの意思を尊重するアルファもいいやつ。乗っ取ったらアキラに協力してもらってアルファの目的が達成できないことを心配した結果なんだろうけど。
多脚移動装置に大砲を乗せたキャノンインセクトに挑む一見、本のタイトルにあるような無理無茶無謀とも思えるアキラの異常な行動。アルファに強化服の操作を委ねてアキラは勝手に動く手足に合わせるだけなんだけどこれが相当に酷な話で・・・アキラの担当は何か? アキラが自身を鼓舞するときに何度か言っている意志とやる気と覚悟だ。バイクを運転しながら人体の可動域をこえるかのような人外の動きを見せるアキラだが体への負荷が高すぎてどんどん自身を傷つけていく。傷ついた体は事前の大量の回復薬の服薬によって再生されていく。破壊と再生を繰り返しながら死線をのりこえていくアキラは克明な描写も相まってかっこいいけど痛ましい。
七つ魔のあの人みたいに命を削って死闘するところを血走った目で読んでしまうような没入感。力は代償を伴うもの・・・ね。
挿絵ある最後の決着のところは異次元レベル。
少しでも蹴る時の力加減を誤ったら誘爆して死じゃないか。アキラはより多くのハンターにひと目を置かれる立場になるんだろう。

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