叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士<br><br>主人公の悩みと憤りに見入る
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)Amazon

杉原 智則(著/文)魔太郎(イラスト)
〇あらすじ〇
邪神カダッシュをこの世に降臨させ、全土統一をもくろんだランドール王国。しかしその野望は達成寸前で六人の英雄によって阻まれた。
 戦後、現状を探るべくランドールに赴いた英雄の一人<竜戦士>ギュネイ。そこで彼が目にしたのは、戦勝国による容赦ない略奪、狼藉や身勝手な戦後処理によって荒廃する国土と苦しむ民衆の姿だった。見かねて手助けしてしまったギュネイは、うっかり救世主、<黒狼の騎士>として名を馳せてしまう。意外としたたかなランドールの姫や、かつて刃を交えた仇敵と正体を隠しながら共闘するのも一苦労、そして対する敵は以前は肩を並べて戦った戦友で?
 英雄による邪神王国復興物語、開幕!

2020年電撃文庫7月刊行作品一覧を見て本シリーズを知った。知れてよかった出会えてよかった作品です!
一貫してどのページも文字がぎっしり詰まっているのが著者の筆力のすごさがにじみ出ていると思う。
過去の大きな戦が終わった後が物語の始まり。骨太な物語の奥行きを感じさせるような文と適量な歴史的な背景の語りや()で語られる主人公の思惑と一人一人の登場人物の思惑、郷愁を感じさせる語り等が絶妙なタッチで描かれるようで没入感がとても高かった。
滅ぼした国ランドールに赴き、国を滅ぼした張本人が数々の武勲をたてて本人の意図せずとも名声がたてられていく。過去の戦争中と戦後で見える世界の違いから主人公は己の気持ちにしたがって手を差し伸べてしまう。
様子見だったはずが助けてしまってとめられず次々とつっこんでは巻き込まれながら話が進んでいく過程で描かれる主人公の悩みと憤りに見入ってしまう。進む先に何があるのか、どうか続いてほしいシリーズ。
先生が書いた『烙印の紋章』も手に取ってみようと思います。

※2020/11/1 追記

100位まで話題作しかない中に3年前(7月に3巻)の叛逆せよ!英雄、転じて邪神騎士1巻があるの最高すぎる。どこで広まったんだよ!災厄を阻止した平定後、敗戦国に立った英雄が目のあたりにした事実から自身の正義に問いかけ、悩み、虚飾に満ちた真実にメスを入れる物語※kindle電撃文庫売れ筋ランキング(2020/11/01時点)

はネタバレを含む感想

過去に長い戦乱の歴史があったのが伝わってくる。6人の英雄が、邪神を降臨させようとしたランドール王国を滅ぼしてめでたしめでたしと思いきや・・・ってところから始まる物語。
故郷をランドールに滅ぼされたギュネイは、憎悪の炎をもやして英雄の一員であり初恋相手である聖女エリシスの導きにより血塗られた戦の日々を送りながら強くなっていく。英雄の称号を預かり皆で目的を達成した後は平凡な暮らしを望み、正体を隠して木こりの仕事をして平穏に暮らしたいだけだったのに、とある事件からまたランドールが不吉なことをしでかしていると踏んで調査目的でランドールにいくんだけど、
自軍(ザッハ)がランドールの村を襲って強奪と殺戮をしている様相をみてギュネイは思い悩んでしまう。ランドールと戦っていたかつての自分では思いもしなかった痛々しい出来事に苦悶の表情が出てしまうことろのギュネイの語りは苦しくもあり没頭して同情して読んでいた。戦争中と戦後で見える世界が違うことから生まれる気持ちのずれ、そして自分には英雄の1人として正体を隠しながらも場を鎮圧できるほどの力をもっている。
その場その場で助けて国中から黒狼の騎士として名を馳せてしまって、最終的に聖女エリシスに凶兆の対象として見られてしまうなんて…大切な人を敵にしなければならなくなるのか・・・悲しくもどかしい未来が見えてしまうけどどうなるのか面白そう!

ランドール王国の姫君ミネルバは失明していた。数年前にランドールのハーディン大司教により力づくで王のもとから奪われて邪神降臨のため強制的に駆り出されていた。途中で視力を失って代わりに姉のラクロアが選ばれて邪神降臨の寸前までいったところを6英雄が阻んで、ラクロアは地上から遠ざけられてしまったという。そういった事の顛末が後に語られると文にあったのでどんな悲劇があったのか次巻以降待ちたいと思う。
3巻かなぁ~3巻の表紙の真ん中は祈りのポーズと金髪からして聖女エリシスだよなぁ。2巻から3巻で2年の隔たりかあるのでもっと早く読んでいればきっと自分は打ち切りかと悲嘆していたでしょう・・・

赤髪のディドーはランドール王国元四天王の娘で兵団の一員。ギュネイの正体を見破っていて次第にギュネイに対する敵対心が疑問へと変わって懊悩する彼女のギュネイへの叫びは痛切に響いた。
なぜ、ランドール王国を滅ぼした英雄が今のランドールのために懸命に戦っているのか・・・
戦いはおわったけど、今起きている戦いによってこれ以上血を流させたないギュネイの本心が彼女に届いて今後行動を共にしそうなのでどうなるのか楽しみ。ギュネイの正体を知る新たな登場人物として。

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