
オキシ タケヒコ(著/文)toi8(イラスト)
〇あらすじ〇
新たなる棺使いたち。《門部》最大の危機。
殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。人類の世界にこれまで六度、虐殺と大戦争をもたらしてきたという白い鬼。その七体目の憑依者を巡るバチカンとの戦いを経て、ひとりの少女を保護することになった《門部》だったが、流星群が天を薙ぐ真夏の一幕の裏で、世界の運命は大きく狂いだそうとしていた。
謎に包まれた第三の鬼狩り組織の襲来。情報統制を敷く《門部》式務。そして、それに抗おうとする離反者たち。様々な思惑が交錯する中、恐るべき柩使いと青鬼の出現によって、平和な夏が切り刻まれていく。第三勢力《THE EYE》とはいかなる組織なのか。式務が隠し通そうとする秘密とは何なのか。そして《白鬼》を守るべく戦う封伐員・百刈圭たち待ち受ける、恐るべき運命とは――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩、激動の第二章。
『波の手紙が響くとき』でも好評を博す、オキシタケヒコが手がけるSF異能バトルアクションシリーズ第二弾。
大切な友人たちとの、もう数回できないかもしれない思い出作りと、迫りくる恐怖とこみあがる怒り、明るみになる数々の事実などを読んでいて、心の中で感嘆の声をあげつつも衝撃だった時は「えー!」「おお!」ともらしてしまうような読み手の感情の揺れ幅が大ききなったり小さくなったりする揺さぶられる本巻だった。
希望には絶望を。絶望の中から一点の光を見出すのか、見出せるの!?と百刈圭とは別のそわそわする感じが残る。どうなるのか続きを読みたいと思った。
敵側の考えに賛成です。
前巻は
後はネタバレを含む感想~
結さん強い
結さん強すぎるよ! メンタルが。
その心のもちようはどこからくるんだろう。白鬼に憑依されていて、身柄を狙われていて応じない場合は門部が襲撃されるという問題の当事者でありながら自分の望みが会長と伊吹の仲直りだという。
頭の中がいっぱいいっぱいで、すすり泣いたけど きめました!と言って自分の望みでありながら他の人同士の仲直りを願う、その心のありようにひかれてしまう!
近くにいて必ず守ってくれる叶という存在の大きさと、同棲している叶の先輩である百刈圭の存在、GOサインをだしてくれたアロハシャツのおっさん(最強)
1人だけ離れている百刈圭が寂しそうにしているかもしれないという気配り。
青鬼の影響で叶は、百刈への殺意が芽生えるところだったけど結の一言が殺意を霧散させた。
殺意を伝染させていく黒鬼とは対照的な白鬼という存在は、生き続ける限り門部に何か多大な貢献をしてくれるのではないかと思った。
百刈圭に触れて心拍数が跳ね上がった叶について、続刊で続きを頼む。
心意の具現か
おばあちゃん!
門部の最強の砦であるおばちゃん(霧島)を門部に引き戻せという真白田の要請は通らず、敵の目論見通り霧島は刺し貫かれてしまった。霧島と同じ回路をもったことがある相手をさすがに看破できなかった。永遠の命を与えられながら工作員として2年近くも演じつづけるのは確かに敵の言う通り退屈そうだ。
霧島を失うとしたら惜しすぎるよ・・強さはもちろんのこと、自分の強さを生かすためにどれだけ天眼の研究を続けてきたかって。霧島さんほどの戦闘員簡単には代替きかないでしょう。あっさり貫かれちゃって、封伐員にとって死はこんなにも近いものか。
正体を現した敵との戦闘。
門部の百刈、乾、姥山の連携は見物でチーム間の信頼の厚さが伝わってきた。
姥山のぐわんぐわん震える停時フィールドは想像したらかなり面白く映るんですが。
怒りと恐怖という感情の起伏に連動して震える停時フィールドを見て、停時フィールドは心意の具現化のように思える。
姥山は怒りと恐怖という感情の揺れ幅を形に。
乾は鬼は殺したいけど人は傷つけたきない心の内面を形に
百刈は・・・・・・?
戦闘時普段のおどおどした雰囲気を払拭し、心は熱く頭は冷静に、感覚を研ぎ澄まして突破口を見出す。
元ガリ勉だった故に真面目に訓練に励み15歳という若さで封伐員になるも死に急ぐことなく任務をこなして後に筆頭封伐員になるほどの強者。
尖った性能ではなく分かりやすい性能で頭一つ抜けた有効射程で遠く離れていている人を守ることができる力。
・・・百刈は小学生の時の『もし』をひきずって根底にある誰かを守りたい思いが発現したのが停時フィールドではないか←そんな描写があったか? でも叶が憧れる、誰かを守れる力の発現だ。
戦闘では百刈の停時フィールドが光ってた。相手の死角になるための壁を作るし、空中に広範囲の層を作るし自由度の高さが面白い。
世界を支配するIの合理的な考え
人口増加に対して指数関数的に鬼が増えるんだったら、鬼に鬼をぶつけて、人口を減らして、他の鬼退治の組織を掌握して世界レベルで動かそうというIの考えは、理にかなっていて納得している非道な読者です。
そもそも鬼ってなんなんだろう。人が増えると鬼が増えるというのはどんな因果なのか。
人が抱える怨嗟が形になったとか。
人口が激増して食料不足になり争いが世界各地で勃発して人類が自然と破滅へと向かっているのを阻止するため未来(異界)から送られてくる人口調整役なのか。
地球全体の貢献度でいうと門部は日本という小さな島国の中でしか鬼退治してないんだよね。
ゲオルギウス会は世界の3分の1もがんばってる。I・・・イルミナティは世界3分の2でかつ裏で世界を動かしているという。
目先の多少の犠牲には目をつむって、未来の多くの命を守れるかもしれない、人類絶滅を回避できる敵側の考えに同情してしまう。
中長期的な視点でみると、あと50年で閾値をこえて~封伐が追いつかなくなって人類は減り続けて人類滅亡は確定しているんだっていう門部の考えより敵側のがよくないですか。 敵側についている・・・。
辛い状況下で門部が何の考えを芯に通して動いていくのか楽しみ。
封伐員、1巻の白鬼が発覚したとき4名の封伐員が地方での任務のため抜けているとあったので後々合流とかするのかな。1名は霧島(当時北海道)