七つの魔剣が支配するVI<br><br>そばにいてくれる友人がいる
七つの魔剣が支配するVI (電撃文庫)Amazon

宇野 朴人(著/文)ミユキ ルリア(イラスト)
〇あらすじ〇
エンリコの失踪はキンバリーに衝撃をもたらした。二年連続の異常事態に教師陣も犯人捜しへと動き始め、ついには学校長自らの尋問が生徒へと及ぶことに。
不穏な情勢下で近付く統括選挙の時期。後継者を決めあぐねるゴッドフレイ陣営の前に、因縁の対抗勢力が立ち塞がる。
そんな中、人生を懸けて箒競技のタイム更新に挑むアシュベリーは、大きな壁にぶつかり苦しんでいた。彼女の助けになろうとするナナオだが、ふたりの華々しい活躍は選挙と無縁でいられず──。
一方でオリバーたちの前には、転校生の少年・ユーリィが現れる。軽いノリとは裏腹に高い戦闘能力を持ち、楽しげに校内を探って回る彼の目的とは──。

今度は、彼女がキャッチしにいったんだね。。。
2年前までキャッチしてくれるあなたがいてくれたから全力を出せた。
変わってしまったあなたを、今度は私が命を懸けてキャッチしにいく・・・そんな思いがあったのかなぁと、想像して余情が残る。
1人の魔法使いの生き様に畏敬の念と、最後の読者の想像に委ねられる感動を抱く。
自らの魔道に全力で突き進む姿は多くのキンバリーの生徒の心にひをつけたのだと思う。
自分たちが通う学校はどんな学校だと。何をしにキンバリーにきたのだと。

はネタバレを含む感想

前巻の戦いの爪痕から物語は始まる。
母の魂との魂魄融合ーーークロエ流、解禁! からのエンリコじいさんとの戦いは痛ましいものだった。
魂魄融合は自分の寿命を縮めるだけでなかった。融合中は自身の体の破壊と、仲間の治癒呪文による回復の繰り返しでなんとか成り立つものだった。
目を覚ましたが自分の体が自分のではないような感覚から焦燥感と恐怖で打ちのめされそうになった時、
察したのかナナオの温かな手のぬくもりが救いのように映った。
みんなから強引に離れてオリバーが1人になろうとしたとき、察したナナオがそばにいてくれた。
身を案じる言葉ではなくて、心配いらないのと温もりを感じさせていたところがよかった。身を案じてはオリバーにとって心労になる、そこは言外に1人で抱え込まなくていいんだっていう安心と温かさがしんみりと響く。

先生の前シリーズねじ巻き精霊戦記の最後のメッセージで、次(七つの魔剣が支配する)も自分の書く物語の本質は変わらないとあったので相応の衝撃を楽しみにしている。

ナナオ立案の鬼ごっこは最高に楽しい思い出だよなぁ。後々振り返ることがあったらどんな時なんだろう。
童心に返って抱えている心の問題をいったんおいて、心底思いっきり楽しむことがきっかけとなって回復したこと。厳密には命の圧縮によって未来の成長を迎えていること。
これで、以前の体では魔剣の使用を連続2回までときめていたけど使用回数を増やせるのだろうか。
キンバリーの不穏な動きは自身が起因となっているだけに大切な友人たちの前では心境が複雑なところがつらいが彼の復讐の道はこれからも続く、迷いなく。隠しきれずにボロが出た時、今の友人たちは変わらず共にいてくれるだろうかと・・・

スポンサーリンク