筺底のエルピス 3 -狩人のサーカス-<br><br>惨い仕打ちだとしても
筺底のエルピス3 -狩人のサーカス- (ガガガ文庫)Amazon

オキシ タケヒコ(著/文)toi8(イラスト)
〇あらすじ〇
殺戮因果連鎖憑依体。古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれる滅却すべき存在。それを滅ぼす狩人の一団<<門部>>は、同じ目的を持ちながらもはるかに巨大な組織<<I>>の侵攻によって陥落した。決死の逃避行を図る<<門部>>残党。差し向けられる恐るべき追跡者。そして動き始めた<<ゲオルギウス会>>の祓魔師たち。人類社会に虐殺と大戦争をもたらすという白鬼を巡り、世界そのものが滅亡への歩みを静かに加速していく中、狩人が狩人を追う、血塗られた追跡劇が始まる。人類存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩、緊迫の第三章が開幕。

前巻

ネタバレを含む感想

惨い仕打ちだとしても、、、

読了後、顔が奥菜正惟になってた。
まざまざと敵の手によって奥菜正惟は、かつて面倒を見て育て上げた元不良少年と愛娘のあの姿を見せつけられるという惨い仕打ちをうける。
死の間際に洗脳から解放され自分を取り戻して、姥山の前では師として、愛娘の前では父ちゃんとして向き合えたのに、逃げろ・・・と言い続ける。感動の再会ってときに自然と交わす言葉もなく終わってしまったけど、最後は大切な人の身を案じる父ちゃんだったんだよな。
数年前に死んでいたところを、Iによって生かされ、命令遵守の犬として洗脳されてしまったけど、最後には自分を取り戻して本来は見ることができなかった弟子と愛娘を見られたんだから、少しは良かったのではないかと思う。最後は残忍な仕打ちで絶望に染まっても、2人の姿を見ることができたという一筋の光明があるように思えた。そう、思いたい。

次元を超越する妙案と第二の心臓

柩殺しのエース・シャターと同じ思いだった。あの、Iの侵攻によって鬼殺しの門の機能が失われたことは1万年後の人類が存続していることを意味している、そこに高揚感を覚えてしまうところが。
封伐員最強の阿黍が門をわたった1万年後にいて、門をわたるエース・シャターを未来から瞬殺するという妙案に感心するばかり。柩殺しは3次元ではやれないから、時間という4次元の要素でもって相手をするという3次元を超越する戦い方に。
エース・シャターは狂った人だと思ってたけど、3巻の前半でいい上司っぷりが描かれるもんだからやり場のない気持ちを抱えてしまう。立場は違えどみんな鬼殺しの一翼を担ってるもんね。エンブリオも。
あの、"ちょっと寄っただけ"で数々の命を弄んだエンブリオは悪者として残虐さを見せてくれたけど、エンブリオもIで組織的に行動してる鬼殺しの一派の1人。共に鬼退治をする者同士なのに、陰惨な鬼殺しの内乱をみているかのよう。もう門部どうなっちゃうんだろうって思う。

鬼を相手するならIの第二の心臓は魅力的に映る。第二の心臓を仕留められれば終わりだけど、体の部位が欠損しても修復できて人を超越した人体の動きを可能とし、老いることがないという利点は増え続ける鬼に敵対する戦力として有望だなーって。それに老いないっていい・・・。戦場が仕事だとしても、不死身で長生きができるというのは余暇も常人と比べれば多いから人生の豊かさと結びつくと思う。

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