筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜-<br><br>それでも人類は抗う、運命に

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オキシ タケヒコ(著/文)toi8(イラスト)
〇あらすじ〇
殺戮因果連鎖憑依体ーー。古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきた殺意の媒介者。それを狩るゲート組織の過去には、時空改変システムをもたらした異性知性体の謎が横たわっていた。前途ある若者たちがその解明に挑もうとする中、式務の一員となった百刈圭まもた、鬼狩りの組織が目指すべき新たな標を求め、不死者の首魁<<プロフェッサー>>が待つ地へと旅立つ。そんな彼らの前に姿を現す、あまりにも巨大な異界の影と、この世の悲痛な真実とは。人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終わりが始まる、継続の第6弾。

ネタバレを含む感想

捨環戦のために育てられ、終わりを止め続けた功労者

阿黍のじいちゃんが真の主人公だろ。心に古傷がある、傷だらけのヒーローか。
数々の罪過を背負って1つの約束を果たすため強靭な精神で時を待ち続けている。
数々の捨環戦を経て顧みて精神年齢が1500歳をこえているのに、外見からは老いによる疲れを除けば疲弊を感じさせないようには見え、こうして目の前の封伐のため変わらず陣頭指揮をとっている心の器の大きさが計り知れない。
なのに、、、積み重ねた膨大な屍と繰り返してきた歴史から今の体制を整えてずっとずっとたえてきて約束を果たそうという時に立ちはだかった式の一。朱鷺川てんめぇーー!と思った。
御前ではなく、あの方が動き出した点が違うけど阿黍は積年の約束を果たす大一番だったのに、論理を捻じ曲げる愛が使命を台無しにしてしまった。  なんていう運命の因果なんだろう。ひかえ自身は、何か分からないけどとめなければいけない確たる思いがあったようだけど。何もなくても最後まで敵味方関係なく御前に危害を及ぼす前に体を張って守りそうだけど。
ここから悲劇が始まろうとしている。第二の心臓を与えられて忠誠心を植え付けられた阿黍が門部に立ちはだかりそうじゃないか・・・白鬼をかっさらってあの方に届けるって? 歴戦の猛者を武力でとめられる?裏ボスの貴治崎か、エンブリオを屠った狙撃手のヒルデにまかせるしか。
また、阿黍に猊下の"愛"は届くでしょうか。

底が見えず、魅力底上げの、運命に抗う物語

歴史を覗いて阿黍が歩んできた壮絶な道のりと謎が明るみになった本巻だった。
話は地球規模をこえて宇宙にまでスケールをのばしていて ほへ~って感じで数々の伏線を丁寧に回収していくのめりこむ物語だった。点と線がつながるどころか、点と線から積層構造をつくるような盛りあがりがあり、全9巻構成(書ききってほしい)の終わりに向けてブーストがかかっている感じ。

結とペルラ姉妹のやりとりがみれてうれしい。捨てた未来でのミケーラの最期があの子と友だちになりたかったと思ったところだったので。
ペルラ姉妹はおしるこのお礼で真理の探究をする光一たちに助言してくれる良い人なんだ。
まずは自分を取り巻く謎を知っていこうと天文部の面々で数々の仮説と検証を繰り返してきて、ペルラ姉妹の助言から閃いて答え辿り着いたのが凄すぎる。柔軟な発想というか、既存の謎のパーツを最大数と捉えずもう一つあったら何ができるんだろうと思考を膨らませていくところ。
宇宙が大好きな結に白鬼が憑依したのも何かの因果がありそうだ。

人類規模の捨環戦を繰り返して、殺戮因果連鎖憑依体という鬼を潜伏観察するため地球が実験場と化しているが、人類もただ黙っちゃいないところがこれから面白くなってくるわけで。プロフェッサーのようなイレギュラー体質から始まり、意思を維持できる依り代が取って代わって代代つないできた今、運命にどう抗っていくのか楽しみです。

人類を愛したいが選択の前では愛など不要、慈悲なき論理による最適解をいこうというプロフェッサーと、天使以外はきっと人は愛で分かち合えるというゲオルギウス会の休眠者ギスラン・コンドロワイエール猊下。2人の間で揺れながらどこまでもあがく百刈圭の背中が大きく見える。かっこいい。時間が許す限りは。
動き出した敵が巨大すぎて先が宇宙です。

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