数字で救う! 弱小国家 2 電卓で友だちを作る方法を求めよ。ただし最強の騎兵隊が迫っているものとする。感想

Amazon  BOOK☆WALKER

長田 信織(著/文)紅緒(イラスト)
〇あらすじ〇
異世界の数学オタク・ナオキの活躍で辛くも戦争を乗り切ったものの、戦後賠償で財政が火の車なソアラ王女率いる弱小国家ファヴェール。財政再建のためナオキとソアラが出した結論は、隣接するモスコヴィア帝国に遠征していた自軍の規模縮小と撤退だった。しかし遠征軍総司令のソアラの従兄妹、ライアスは気さくなイケメンながらも彼なりの帝王学を持つ難物。コミュ障のソアラとナオキは、果たして彼を説得できるのか!? 
 そして新たにナオキが雇うことになった女性助手(美人)が、ソアラから目のハイライトを奪っていく! 
「首だけのナオキさんなら浮気しませんね!」
 危険な発言も飛び出す波乱の第2巻!

ネタバレを含む感想

3国が均衡状態にある西方戦線の話。
1巻はソアラとナオキが突っ走っていて臣下やまわりの人達がついていけていない印象だった。そこが裏目出てより乖離していくのか、少しずつ理解を示していくのか気になってた。どっちに転ぼうとも面白そうだけど。

臣下がナオキとソアラが見ている"世界"を教えてくださいと興味を示したところは2つの意味で大人の貫禄をみせたと思う。
1つは数学的な考えを組み込んだ戦いのシミュレーションの有用性に気づいたところだと思う
ナオキの数学講座の対騎兵戦のシミュレーションはぐうの音もでないくらいの完成度だった。
状況をひっくり返す魔法や並外れた戦闘力をもつ戦士の中の戦士といったチート的な一騎当千の武将がいない現実的な戦記では、参謀の読み筋が雌雄を決するんだなぁってしみじみ思う。
2つは、臣下がソアラが見ている世界を理解しようとする懐の深さをみせたところだと思う。
1巻に出てきた新しいものを受け入れない意固地な武将とは違い、西方戦線では論争で時間をかけたけど根っこのところではソアラ王女殿下、国の力になりたい臣下がいてよかった。戦の経験がなくて数学とかいう魔術と呼ぶにふさわしい怪しいものに手を染めているナオキとソアラに、周りは難色を示していた。だが2巻で登場した臣下は数学の世界をみてみたいと言った。そんな彼らの寛容さにソアラとナオキは救われたのではないかと思う。作戦会議では二人だけが知っている数学用語で臣下に疑問をもたれるし、2人から数学のよさを伝える機会さえもたない始末。聞かれれば丁寧に説明はしているけど積極性のなさからどうも乖離が生まれて魔術やらなんやら呼ばれてしまっているので今回の臣下の動きは感謝に値するものだと思う。

今巻から登場した、秀でたポテンシャルをもったナオキの助手テレンティアが素晴らしい動きしかしていないのでソアラよりテレンティアに軍配があがってるわ。いじりといい、かけひきといい、救いの手を差し伸べるといい、存在感がすごい。彼女の存在がナオキとソアラの数学の話を広げて、国の運営陣を一枚岩にしてくれそうな感じがする。架け橋的存在。 これからもナオキへのいじりを見たいものです。

今巻は正論を通しても臣下の心と理解がおいつくわけではない難しさとその解決への兆しが魅力的で面白かった。戦記モノとしても十分に練られた面白い話だった。
数学講座も、数値で見ては価値が下がる哲学的な話が興味深かった。

なんか、2巻の魅力を書けてない気がするし、感想の書き方が分からなくなってきている昨今です。
読後の思いを言葉にすべく、読み終わったらすぐ感想書きに着手しないといけないなと気づいた。
最後にテレンティアが落ち込んでいるソアラに助言して、ソアラがいった言葉が印象的だったのでメモしたい。

「・・・その通りです。ええ、そのとおりですね。もうじゅうぶん泣きましたし、そろそろ諦めることにします。諦めて立ち上がります。だってわたしはーーーファンヴェールの王ですから」

p294

1巻で世界の醜さをナオキに指摘されながらも、ソアラはそんな醜さなんて忘れられるくらいの世界の美しさを力説していた。類似したテレンティアの助言は心に響く至言だったのだろうか。ナオキが難しいといった、感動した自分から目を背けないでいるソアラだからこそ。

スポンサーリンク