数字で救う! 弱小国家 4 平和でいられる確率を求めよ。ただし大戦争は必須であるものとする。感想

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長田 信織(著/文)紅緒(イラスト)
〇あらすじ〇
紆余曲折の果てに、契を結んだソアラとナオキ。女王となったソアラは一児の母となり、そしてナオキは王配(女王の夫)としてソアラを助けつつ、宰相としての職務を日々こなしていた。
なぜかちゃっかり宮廷女官長兼ナオキの愛人(女王陛下公認)におさまっているテレンティアが、しっかりナオキとの子を作っていたりするが、それはさておき、弱小国ファヴェールは平和であった。
――そのはずだったのだが。
ファヴェールが所属する国家同盟と、他の諸国連合の関係が悪化。史上最大規模の、『国家連合同士の大戦』が迫る。
次なる世代に国の未来を繋ぐため、ソアラとナオキは、新たな戦いに臨む!!

ネタバレを含む感想

ん?"宮廷女官兼ナオキの愛人(女王陛下公認)におさまっているテレンティアがしっかりナオキとの子を作っていたりいるが" ←とんだ展開にびっくりではなくてテレンティアさんが報われてよかった。
テレンティアとの子、ソアラ王女との子を授かったナオキ宰相は5年後の舞台で再び辣腕をふるう物語。
愛妻活動が活発でございまして・・・最近"控えめ"だった二人が再会して~の展開もいいけど、内政面、軍事改革、農地改革、各種機関設置、幼育院等、戦記以外の描写を事の背景から現在まで得心がいくように描かれてるのは魅力的。この国の経済の流れを描くのもこの物語の面白いところだと思う。数学的な考えを組み込んで説明するところも読みごたえあり。王女と宰相を筆頭に各種連携してここ数年戦記以外で奔走してきたのが分かる。

3巻で採用した数学の鬼才少女トゥーナが大活躍の巻でうれしい。ナオキに代わってナオキから教わった数学講座をトゥーナが開く。護衛を勤める傭兵隊長の息子オードッグがトゥーナの解説に頭を傾げたり、力説に圧倒されて「お、おう」となったり、少し共感できたりと様々反応見せてくれて、これが素の反応として読者に近いよなぁと共感できるところが多かった。ソアラ王女はすぐ数学を吸収できるし。
理解に苦しむオードッグに簡潔に要点だけ最後説明してくれるのもトゥーナのいいところ。
分析のトゥーナと軍師のオードッグ。この二人のコンビは面白かった。回帰分析からハサリアの居場所をトゥーナが勘ぐって、ナオキ軍が向かうところに予想外のハサリアが待ちかまえているかもしれない展開にオートドックと同じように戦慄した。一貫してオードックの反応が多くの読者の意見を代弁してる、きっと

さて、各国が<<同盟>>と<<誓連会>>に分かれて緊張状態からの多国を巻き込んだ大戦争に突入しようとしている。2面作戦ということでファヴェール軍の共和国侵攻は快進撃だった。予想外なことも数式に含めているのは見事だし、あの2巻で強さを知らしめた最強の騎兵部隊ハサリアを、2巻と同じセルオートマンの考えで戦力を数値化し、対ハサリア用に編成した軍隊で突破口を見出す戦術はすごかった。6倍の兵数で相手しても勝てなかったハサリアに。
こうして2面作戦のうち一方のファヴェール側は成功したが、数倍の兵数でナオキの計算によれば絶対に負けるはずがないとされていたもう一方の同盟軍が敗北したということで、多国間戦争は次巻に続く。
数学使いこと魔術師はファヴェールのみではなく敵側にクセ者がいるのは面白くなってくる!

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