烙印の紋章 Ⅲ 竜の翼に天は翳ろう 感想

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杉原 智則(著) ●3(イラスト)
〇あらすじ〇
帝都ソロンでの反乱を阻止しますます名声を高めたオルバは、皇帝により辺境のアプター砦へ赴くよう命じられる。そこはかつてビリーナの故国ガーベラに占領され、メフィウスへと返還されようとしている地だった。そしてその機を狙って隣国タウーリアが侵攻してくるという噂があった。元剣奴隷の近衛兵などわずかばかりの手勢を率い、ビリーナと共にアプターへと進発したオルバ。一方、ガーベラではエンデ公国との戦端が開かれようとしており、メフィウスの援軍を必要としていた。一触即発の状況の中、寡兵しか持たないオルバがふるう采配とは-!?英雄への道を描くファンタジー、第3弾。

ネタバレを含む感想

烙印の紋章Ⅲの主要キャラが写っていて、タイトルが載っている口絵がかっこよすぎる。 口絵にかっこいいなんて感想、七つの魔剣が支配する3巻のナナオ=ヒビヤが写る口絵以来。

烙印の紋章Ⅲ P6,7

自分が何者であるのか、何者になれるのか分からない。ないものねだりなんだよなぁ。

「自分が『何者』か、『何者』になれるのか、それは、空一面の星を数え終えることがないように、尽きることなくいつまでもつきまとい続ける悩みなのでしょう」

P173

オルバが兄ロアンの言葉の受け売りを上記の引用に通りにビリーナにいったけど、まんま伝えているわけではなくて消化した上で自論も混ざっていると思う。
自分の中に色んな自分がいて、どの道が正しいのか迷うどころか、出口がたくさんあってどこへ向かって進んでいいのか分からないというビリーナ姫。そして姫は、剣闘士オルバの前ではあどけない14才の少女の顔をみせる。オルバの方では、「お、おう」と皇子としてはみせない挙動の数々は毎度注目。互いに別の顔をみせるところが。
姫の仕えであるテレジアが危うく転倒しそうになった、ビリーナが姿見の前で「べえ」するところは祖父の教えを吸収して行動した一場面。何か策謀をめぐらしていると訝しむのではなく、悩んだ上で自分からオルバを信じて手を携えるところが印象的。実直で考え込み、時に配下を驚かせる行動力をみせるところはオルバと似ていると思った。姫の場合は14歳の少女らしい空隙をみせるところがあるけどオルバの場合は剣闘士でも皇子としてもなかなか周りにみせることがない。
が、過去兄ロアンが求めてきた握手の意味、オルバ用の刀を作った鍛冶師が明かした真実を受け止め、1人頂上でぽたぽたと堰を切って出てきた涙を落とすところは、今の立場のオルバがみせた初めての峻烈な感情だったのではないか。これでどう考えが変わるのか杉原先生が丁寧に綴ってくれるだろう。
そしてビリーナが涙を流す皇子の姿を発見して、見てはいけないものを見てしまったように即立ち去ったので、ここで1つビリーナにとって皇子の印象が変わりどう続くのか気になる。

今回は姫が決心して行動し、気骨をみせ、オルバも奇抜な作戦でアプター砦の死守を試みるという未来の夫婦が共同戦線しているようで2人にとって前進した物語だった。

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