烙印の紋章 Ⅴ そして竜は荒野に降り立つ 感想

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杉原 智則(著) ●3(イラスト)
〇あらすじ〇
なり代わっていたメフィウス皇太子ギルの死を偽装して表舞台から姿を消し、タウーリアの傭兵となったオルバ。折しもタウラン全域は魔道士ガルダの脅威に揺れていた。その次なる標的と目されるのは都市国家ヘリオ。だが、そこは謀反や妖艶な王妃マリレーヌの変節など、多くの内憂をも抱えていた。オルバは援軍としてそのヘリオへと赴く。復讐を果たした後、確たる目的も定められずに一介の傭兵として戦うことになるが、運命はオルバを新たな挑戦へと駆り立てる!英雄への道を描くファンタジー戦記、待望の新章スタート。

ネタバレを含む感想

皇子が撃たれ、その身を暗闇に晦ましたとき、メフィウスでは帝都からも兵が出て捜索にあたったが見つからず皇子の葬儀をとりおこなうーーという前巻の最後。


そうか、復讐のために苦難に耐えて、いざ目的を達成したことで剣闘士オルバで、皇子ギル・メフィウスでいる必要がなくなり、タウーリアにシークとギリアムを連れて傭兵稼業を始めることになった本巻は、身分も舞台も関わってきた人物がごっそり変わろうと、新天地でオルバが成り上がっていく面白い物語だった。
メフィウスについて知りたいエスメナ姫の前でギル皇子を貶める発言の数々をしてしまうところは、言葉にして相手に伝えているようで自分自身に言い聞かせているようだった。文中に、戦場はたくさんの『ロアン』がいたという表現に胸中の心かき乱される情動がこめられていると思う。
チクりとした胸の痛みをともなってビリーナの面影を重ねたり、彼女の言葉を思い出したりして時に舌打ちするところが印象的。復讐を果たして目的を見失っているところから、果たすべき明確な目的を見出して次巻へと続く流れがすてきだ。この巻で舞台となっているところでは、ガルダと名乗る200年前に名を轟かせた魔導士を筆頭にした勢力が、各国をのみこんで人々を人質にして兵を生み出し、日々生贄をもとめている。
各国の緊張状態と魔導士たちの禍々しさ。打倒ガルダを掲げ、オルバの今後の進撃が楽しみ。

メフィウスの情勢は数ページ、フェドムたちの暗躍が描かれていてビリーナ姫の情報は噂に聞く程度。
ガーベラから使節が訪れたが、姫は帰国をお断りしたと。
オルバがビリーナ姫と再会した時に言う言葉はきっと、「メフィウス皇子ギルは『嘘つき』と言ったろう」
だろうと思ってる。

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