処刑少女の生きる道2 ―ホワイト・アウト― 感想

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佐藤 真登(著/文)ニリツ(イラスト)
〇あらすじ〇
「この海の近くには、霧があるのよ」
古都ガルムをあとにしたメノウたちは、港町リベールへと辿りつく。
入り込んだが最後、戻ってきた者はいないと言われるリベールの霧。それは、かつて南方諸島連合を食らいつくした、四大人災『霧魔殿』だった。死んでも蘇るアカリを殺しきる手段を求めるメノウは、処刑人としての任務を完遂するため、その魔の霧を利用することを思いつく。
そんななか、メノウたちに接近するリベール伯の娘・マノン。“いなかった”はずの彼女の行動が、メノウたちの運命をアカリですら意図しない方向へと捻じ曲げはじめる――。

ネタバレを含む感想

足りない、           男が。

佐藤先生が処刑少女のコンセプトを『中二病的スタイリッシュスパイアクションファンタジー』(女の子主人公で)と明言されていて、男は史実で名前が出てくるとか、無名の男の兵が出てくるくらいで、主要人物が男と相対することなんてないなんてこと、だいぶまえに1巻読んだ時点で知ってた。
決して非難ではなくて、2巻読んで改めて再認識したことを書いただけ。
本巻で『第四』の勢力を追っていく中でアカリの指針が明らかになり、物語も追っていくごとに事件と真実がことごとく既知のそれらを上回るスケールで明るみになったりと飽きさせることなく読めた。

メノウは今のところはアカリの存在を消す処刑人の任務を遂行しようとしていて、アカリはメノウを生かす世界線に辿り着くために持ち前の純粋概念『時』を繰り返し行使して記憶を削られていっている。
そして四大人害の『万魔殿』との衝突で純粋概念を使用した異世界人の成れの果てを目にすることになる。
四大災害とあって、なんて悍ましい様相を見せてくれるんだろう。他の四大人害の話に期待を募らせる。
『万魔殿』を前に、心身が漂白されたメノウだから体現できる地脈から吸収した『力』で対抗するメノウ。
灼眼のシャナのサブラクを想起させる戦い方に今後の大いなる可能性を感じた。ぶっとんだ王女殿下と今後も共に戦場に立てば同じような戦い方で敵対できそうな感じ。王女殿下の大いなる力の行使で地脈へとつながる穴をあけてもらって。できないとしてもメノウの魔道への優れた技巧と手練手管の手腕は前衛、後衛どちらも頼もしく、戦闘狂の王女殿下をアシストする立ち位置でも見ていて楽しい働きぶりを見せてくれるのではないかと思って今後も王女とのタッグを見てみたい。と、思うとモモに憐憫の目を向けてしまう。
メノウへの想いは随一な彼女のこと、今後裏方以外で活躍できる場面があるといいなって。

アカリについては冒頭のうんざりしているメノウと同じ胸中なんですよね。どう任務を全うしようか。
モモがとてもとても大切にしていたメノウからもらったリボンをいじわるで燃やしたアカリを殺してさしあげる方法。
そこで『万魔殿』からの助言で塩の剣がある地へと向かうことになり、導師から処刑宣告がくだり、救われない道から始まった物語の今の世界線に暗雲が立ち込めることとなった。

面白さという観点だと舞台は魅せられる要素が多くて魅力的。反面それらの魅力がなす物語のためにキャラが動かされている感じが心のしこりとして一貫してあった。キャラの心情は散りばめられているけどもう少しほしかったのと、どうしても1巻の完成度の高さを思えばシリーズものは2巻が試される巻であることを思い知らされた。
お門違いな感想だけど同じ大賞作品の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 』の2巻後半の心が激しく揺さぶられる展開と強烈な印象から今後の彼らの物語を早く読みたい!と思えるような強い引きがなかった。
精神が漂白されたメノウ、最初からメノウに一辺倒なアカリ。アクセル全開な王女殿下。だと難しいのかもしれないけど。
佐藤先生の『全肯定奴隷少女 1回10分1000リン』のような筆致を希って。

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