ヴァンダル画廊街の奇跡2

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美奈川 護(著) 望月 朔 (イラスト)
〇あらすじ〇
父の遺志を継ぎ『誰かの心の中の絵』を描くため、世界を旅するエナたち『ヴァンダル』一行。しかしそんな彼らをあざ笑うかのように、過激派の反政府組織『DEST』が絵を用いたテロ活動を実行に移し始める。絵を単なる政治闘争の道具にする彼らを許せないエナたちは、それを妨害するために奔走するが…突如として彼らの前に現われた、殺されたはずの『DEST』の指導者UMAを名乗る少年は…エナと似て非なる光を宿した、赤い『眼』を持っていた-!!第16回電撃小説大賞"金賞"受賞作第2弾、努濤の新展開。

物語に踏み込んだ感想

あたしたちは押し付けるんじゃなく、気づいてほしいだけ…今の世界が取り戻さなくちゃいけないものは、確かに存在することを

衆目を集める壁面に、プロカンダの撤廃例によって規制された絵を描くアートテロリストのヴァンダル。
絵画に添えられた一文『芸術に、その自由を!』の通り彼らは押し付けではなく人々に訴えている、気づてほしいと発している。それは押し付けによる植え付けではなく、人々が感じ入って芸術の素晴らしさに気づき、自然とその感動を他の人に伝播させていくようなものでなければならないと。
美奈川先生の芸術への造詣の深さが落とし込まれた文を読んでいると作品が気になって芸術作品をネットで調べながら読むようになった。より味わい深く読めて楽しい。こう自然と好奇心を駆り立てられて学生時代には関心がなかった美術作品の絵と、絵に込められた思想に興味をもつのは、『ヴァンダル画廊街の軌跡』が自分にとって一種の芸術だからかもしれないっと。テロリストたちの物語ではあるけど目次全てが美術作品なので必ず作品の思想と絡めた話が出てきてどの短編も読んだ後に熾火のような、時に切なさが混じった温かさが残る読後感がある。
本編では特に最高クラスのピアノに魅せられて、求めるあまり大切なものをなくしてしまった女性とハルクの物語の結末は流麗な文による上手い仕上げだと思った。気持ちとして本を持つ手の指先が温かくなるような。
他も機械式時計への思い、刺青というように1巻にはない、展示物の絵画以外の創作があって、広がりがあり味読できるのが魅力。

2巻は3巻に期待を膨らませる話でもあった。母の真相と、過激派反政府組織の殺された指導者の名を利用した謎の人物。1枚の絵では世界を変えることはできないという。
やり方が違うテロリスト集団が2つもあるとは。どちらも世界を変えてやると言葉で、行動で示しているが世界レベルで芸術が規制された世界でどこまで手が及ぶのか。
また物語に出てくる新たな芸術作品を調べる楽しさも加わって。



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