教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?8時間目 感想

Amazon  BOOK☆WALKER

さがら総(著)ももこ(イラスト)
〇あらすじ〇
ついに星花に秘密がバレてしまった天神。だが、そんなことはお構いなしに、小学生たちの受験戦争が始まった。予想外の合否の報に接する天神だったが、その周囲に不穏なオンナの気配が現れて――? 「ててて、天神先生のカノジョ!?」「ヤヤたちは二股をかけられていた?」……なわけないだろ。いつものくだらない修羅場は、しかし、いつもと少し違う。星花は芸能界入り間近で、冬燕は将来に目を向けて、ヤヤは海外案件を検討している。巣立ちの時は近く、だれもが変わらなければいけない。あらゆる物事には始まりと終わりが用意され、天神は星花に対してひとつの答えを告げることになる。――これは、子どもが大人になる物語。

ネタバレあるかも

塾講師として、作家として、己と対峙して

溢れ出る完結巻のオーラ。
完結だった。
書くべきことはすべて書いたとシリーズ初の著者のあとがきにあった。書きたい物語を全て世に出せることは作家としても、読者にとっても幸せなことだと思います。ありがとうございます。
塾講師として、作家としてお仕事モノ2軸で走らせつつ否応なく自分の内面と向き合い合理的に考える自分とプライドで懊悩するが自分がせめぎあう主人公が今日も働く(業務外のお世話?もあり)物語
業界モノの話を読みたいと思っていたので最終巻は、教え子の小学生たちの人生の正念場である受験とそれを見守り、結果を共有する塾講師を描いて読み応えがあった。先生の過去のトラウマも短い話だが今の先生の職業観を形成する重要な位置づけなんですよね。噂は伝播するごとに歪曲していくし先生は1人だし見方によってはえこひいきと捉えられてしまうなんともやるせない話。だが、そこから先生を脅迫してくる教え子に出会って彼の職業観、ひいては人生観にも影響を及ぼす物語が始まる。先生の経験したことを書いた物語こそ今読み終えた「教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?」なんだと思いたい。
全てに入口と出口がある。先生は塾講師として新たに入校する児童・生徒を迎え入れ指導し、輩出させる。
迎えることになる卒業があるからこそ、共にすごす時間は尊いし教え子の成長は喜びとやりがいで胸がいっぱいになる。途中で退場していく子どももいる。変わらないのは常にプロとしての仕事に抜かりなく業務を遂行していくこと。子どもの悩みに寄り添い、家庭の問題にも着手して一役買うことがあれば、親でも塾講師でも子どもをしっかり見られていなかったことを痛感させるシーンがあったりと胸に迫る物語があり作家兼塾講師の立場から派生していく多様な物語が展開されて魅力的だった。そして物語には先生の「お人よし」という芯が通っている。先生が導き出した教え子とは?の答えは、彼の人柄にぴったりな回答ではないだろうか。
シリーズありがとうございました。

さがら総(著)ももこ(イラスト) MF文庫J 2020年12月25日
スポンサーリンク