ライトノベル2020年お気に入り10冊

順不同の2020年ライトノベルお気に入り10冊。だが1冊だけ1位と記録する。

さよなら異世界、またきて明日 旅する絵筆とバックパック30

「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを」を手掛けた著者の新シリーズ。前作にあった心温まる雰囲気が発揮されていて、厭世気分になりがちな世界に優しい明かりを灯すような作品。物語は滅びかけた異世界に迷い込んだ主人公がハーフエルフの少女と出会い、旅をする話。世界は暗くて一人では不安に駆られることがあるかもしれないけど一緒に温かいご飯を食べて、言葉を交わす仲間がいれば旅路はきっと明るいものになるような雰囲気がいい。

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妹さえいればいい。14

主人公の言う「主人公」は14巻を通して彼の生き様を追ってきた読者だからこそ胸につきささる至言であったと思えた。主人公の周りのたくさんの人達の人生を丁寧に描いていて一人一人の生き方に魅せられる。間間の変態ネタに大いに笑ったし、心温まるお話、切なさが残る余韻等本シリーズは小説の醍醐味がつまっているようだった。それはつまっているどころか溢れ出して、読んでいる読者自身の在り方に問いを投げかける力強い作品だった。

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数字で救う! 弱小国家 5 勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。

大戦争、数学による戦争芸術。敵から離れた距離で数学的な考えを戦術に生かして戦う、または戦争を支える人員と金と物資の流動を大局的に見て数字で見て適宜判断していくところが既刊で見物だったが、本巻はそれらに加えて戦記ならではの戦いに赴く戦士たちの熱い戦意と死中に活を求める気迫さ等、総じて熱いものが詰まった物語だった。

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蒼空はるかな最果て図書館 光の勇者と愛した歌姫

読み手の心を温め、童心に返って楽しめる優しいファンタジーだった。読みながら批評項目が挙がっていくようなジャミングがなく、無垢な心で物語を楽しめていた子供の頃を思い出す。本から飛び出すかわいい魔物たち、館長のウォレス、鏡越しで出会った魔法石屋で働く少女ルチア、メイドのリィリ、勇者、マリーアンジュとすてきなキャラクターたちが織りなす物語が好きだった。女性作家が執筆することでより優しさがこもった筆致だった。

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七つの魔剣が支配するV

解禁のシーンに心が躍り、仲間の願いと哀切がこもった主人公の破壊と再生を繰り返す狂気をはらんだ戦いぶりが圧巻。結果がどちらに転ぼうとも悲哀を感じることは避けられない切なさが擦り切れるような熱さを生んでいて、凄みを感じさせる。大切なものをすり減らしながらも最後には何かをつかみとってほしい。また周りの友が今後オリバーの本物の支えになってくれることを願って。

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こわれたせかいの むこうがわ2 ~少女たちのサバイバル起業術~

「忘れ物だよ」のシーンで全部もっていかれた。1,2巻と続いて描かれる暗黒郷の世界で大切な相棒が隣にいてくれる頼もしさが伝わってくる。感動の余韻に浸った後はかっこいい武闘解釈、雰囲気を高める凝った敵の登場シーンの描写、その敵に仲間たちと結託して挑む総力戦と見どころがたくさんあって読んでいる時に物語から迸る熱波が凄い。そんなイメージで頭がガンガンして満足度が高かった。

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プロペラオペラ2

太平洋戦争を模した空戦戦記。敵は自国の10倍の造船力、20倍の製鋼能力があり勝てる見通しが立てられない。敵に勝るのは勇気であり、2巻の戦果は勇気と結束力がなせた業で、戦場の女神が存在するなら自国に微笑んでいたと思わずにいられないほど残酷で命の残滓が美しく映る壮絶な戦いだった。戦艦「大和」が登場しているので歴史をなぞるのか、本来の力量を発揮できるのか気になる。

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29とJK8 ~そして社畜は今日も働く~

経済小説だと思ってる。JKはライトノベルっぽくしているともはじめの方は見てとれるほど、いなくてもお仕事小説として面白く、熱い逆転劇が痛快なシリーズだった。1巻時点でかつて編集者だったヒロインとかつての担当作家との話が最終巻で進んで読んでいてこみあげるものがあった。仕事に真摯に向き合う姿勢と時に理不尽なことに真っ向から立ち向かう主人公は勇猛で、社会人になり働きはじめて金で動く組織のやり方に染まっていくと風化していく瑞々しい情熱を失うな!今に愚直に真摯に向き合った者に明日がやってくる、地に足をつけて生きていけ!とエールをもらえるお仕事小説。

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ハル遠カラジ4

人類の多くが突如消失した世界で、かつては人の命を奪う武器を造る兵器であり、機械特有の精神疾患を抱えたことで線戦を離脱して訓練施設へと送られ、最後に誰かの役に立ちたいと思っていたロボットの主人公が、森の中で命が完結していた少女に出会い、鉄の心血を注いで命を育む物語。また、痛みと覚悟を背負い母親であろうとし、母親であり続けた物語でもある。既知の物理学では説明できない異能で次々と残された人類を刈り取っていく敵と暴走ロボットが蔓延る終末世界を舞台に重いテーマである分、人間味に溢れたロボットと少女、出会った仲間たちとの友情や家族愛が愛おしく映り、それを表現する遍柳一先生の日本語の美しさを感じさせる筆致が魅力。
心温まる日常から切なさを帯びる戦闘まで、遍柳一先生の文才により深い物語を噛み締めることができる。

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叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士3

1位。(タイトルで損しているとファンから言われてる小説)

圧倒的。
杉原智則先生が執筆する小説に感銘を受ける。戦記「烙印の紋章」「レオ・アッティール伝」の著者。じんわり温まる小説や心揺さぶられる小説、熱い小説に読んでいれば幾度出会うことはあれど、はじめから最後まで味読ができた上で上記のどれかの小説たり得るものは、電撃文庫でデビューして20年活躍している杉原智則先生の小説が筆頭に挙げられる。面白いシーンで楽しませることも大事だけど小説の本質は、読ませる文章で深い没入感があり、味わい深く読める小説であると思う。物語を形作るのは文章だから。面白い上に味読ができれば、最高な小説に化ける。というのは杉原先生の本を手に取ってパラパラめくれば直感で全体的に文章がぎっしり詰まっていると分かる。とにかく読ませる文章と()のキャラの心の声によるテンポが堪らない。笑みをこぼしたり、ぐんぐんのめり込んだり、ドン!と考えさせられる心境に陥ったりと地の文の多さが魅力にしか映らない小説。会話の勢いでごまかさず、紛れもなく地の文で形作る物語で勝負している小説。
物語は、英雄の1人が災厄を阻止した平定後、敗戦国に立って目のあたりにした事実から自身の正義に問いかけ、悩み、虚飾に満ちた真実にメスを入れる物語。現地に立ってみて体感することは、真実は事実を曇らせるということ。読者の現代に通底するテーマがあり、現実に影響を及ぼす力があるライトノベル。
イラストレーターをかえた2年ぶりの続刊に、作品を追っていた多くの読者が歓声を上げた。
回想で存在感が高まっている人物と再会しそうな4巻になりそうなので、打ち切りだったら心折れる。

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少しでも気になったら、1巻の熱いAmazonレビューの数々をご一読ください!
3巻は2年ぶりの続刊であるにもかかわらず1巻よりも星の数が多いのでファンの方々がどれだけ切望されていたか伝わってくるかのようです。著者はブログやTwitterをやっておらず宣伝は発売時の公式アナウンスだけなので多くの口コミが集まるのはうれしい限り。


今年は最新刊が2年前近くの「筺底のエルピス」の口コミが広がって一部ネット界隈ではブームだったと思う。

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