ドラフィル!2 竜ヶ坂商店街オーケストラの革命 感想

美奈川 護(著)
〇あらすじ〇
『お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない』相も変わらず、竜ケ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』でコンマスを続けていた響介。しかし急にかかってきた父・統からの電話と唐突なその物言いに、響介のヴァイオリンの音色は大きくかき乱される。そんな彼に発破をかける七緒だったが、彼女の元に送られてきた『ある物』により事態はより混迷を極め-!?商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場。

弓を置けと言う父と音楽を職業にできなかった子の物語

ヴァイオリニストになれず挫折をして、夢を子に託そうとした父と、その父の期待にこたえられなかった子との互いの過去から今の思い思いを言葉で伝え、言葉よりも雄弁に語る音で語る父子の物語だった。幼い頃に主人公が聞いた父の一回限りの演奏を覚えていて、なぜ父が弓を置いたのか。亡くなった母が言ったように父は自身のことを話さず、主人公とその父は袂をわかってしまった。だが登場するヴァイオリンのもう一つの名の通り「救済」の話でもあったのだと思う。最後のオーケストラで迎えた珍事は過去に七緒が言っていたように偶然でも奇跡でもなく必然であったのだと思うと音楽がもつ得体のしれない力を感じさせる。
舞台で音楽の「魔」にのまれないためには演奏家は自身を固い鎧を覆った化物にならなければならない。化物になるかならないか、魔にのまれるのか抗うのか。普段は学生や商いをしている自営業の人、主婦、サラリーマンが舞台の上では一人一人が音楽家となり、彼らの演奏が調和して竜ヶ坂商店街の「ドラゴン」のごとく産声をあげて轟然と竜の咆哮を轟かせるようなオーケストラにのまれていた。

「お前が逃げるなら、音楽も逃げる。そして二度と、お前の手の中には戻ってこねぇ」

P137

伝えた言葉と、思いをのせた演奏と、自分自身に向き合い打ち勝つための楽曲を弾いて自身で1つの答えを出す
妄執の物語だった。

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