鬼滅の刃と同じ鬼狩りの物語「筺底のエルピス」をおすすめ

鬼滅の刃のオーケストラ「鬼滅の奏」「ご注文はオーケストラですか」両者とも映像と共演し、プラスでオーケストラをバックにした歌があり魂を震わせる体験だった。これだからオーケストラの調和した優しい音色や、迫力ある轟く咆哮を浴びたいと再度思う。
・・・ということを記録に残すはずだった。

「鬼滅の奏」

去年の秋に建築美の東京国際フォーラムで開催された鬼滅の刃のオーケストラ「鬼滅の奏」を鑑賞した。
スクリーンに映し出されたチュートリアルに沿ってオーケストラが演奏され、演奏中は放送されたアニメ映像や映画PVにある映像が流れる。イメージとしては公式が出しているPVの通り

「竈門炭治郎のうた」にいたってはオーケストラの演奏と映像と歌によるトリプルコンボだった。
あと贅沢なイベントだと思ったことは、演奏者の後ろに合唱団がいて「ウォ!」とか「ヤァ!」とか「イーヤ!」を発声していたところ。合唱、合奏、映像、歌唱と「鬼滅の刃」の音楽を構成する要素を詰め込んだ豪華な「鬼滅の奏」だった。

パンフレット。
撮れた写真はこれのみ。「鬼滅の奏」キービジュアルが写った看板とかあれば撮って載せたかったなーと思うが撮影時の密集を避けるためなかったのだと捉えておこ

↑イメージ。2年前のこのすばオーケストラと3年前のKeyコンサート


同じ鬼狩りの物語「筺底のエルピス」

記録なのに何かと機会があれば載せる心持ちだ。
2020年大いに日本中に席巻した鬼狩りの物語「鬼滅の刃」
アニメ2期がこなかったら逆に日本経済の損失とも捉えられそうなほどの人気を博した物語を読み終えた読者が、次の鬼狩りの物語を求めているのであればガガガ文庫刊行の「筺底のエルピス」という物語を知ってほしいと思う。

人類を滅しようとする鬼を狩る戦士たちの物語「筺底のエルピス」筺底は「はこぞこ」と読む。
優秀なSF作品を賞する「青雲賞」に参考候補として選出されたことがあるオキシタケヒコ先生による新たなSF異能バトルもの

筺底のエルピスの厄介な鬼


この物語では鬼を殺戮因果連鎖憑依体という。異界からきた人類を絶滅させる不可触の存在で、憑依した人間の同族殺しの殺意を増幅させる、古来より「鬼」や「悪魔」と呼ばれてきたもの。そんな殺人鬼を倒したら終わりではなく、なんと鬼は一段階強力になって宿主を殺した人間に憑依し、殺戮の欲求を強くさせる曲者。
なら直接手を加えず間接的に鬼を殺しても、鬼は執拗に因果の線を辿って鬼殺しを企てた者に憑依する。

漆黒の箱を武器に戦う


そんな鬼を封じる者が封伐員と呼ばれる戦士たち。
鬼滅の刃の鬼殺隊がそれぞれの型や呼吸を武器に戦うように、「筺底のエルピス」の封伐員は鬼を感知して可視化する改造眼球「天眼」と「停時フィールド」を武器に戦う。
停時フィールドとは、包み込んだ空間の時間をとめる漆黒の箱。何物をもっても傷つけることができず、展開する範囲にある何物をも切断してみせる瞬時展開の漆黒の箱であり、それは使い手の数だけ特性が異なる。
4つの制限項目「大きさと形状」「展開有効距離」「遠隔固定機能」「展開持続時間」があり、
主人公は3秒間という時間制限があるが有効射程が長く、大きさの比率が自由な汎用性が高い直方体の停時フィールドを展開でき、ある者はどんな物も切る刀のような形状のやつだったり、ある者は停時フィールドを身に纏って肉弾戦を挑んだり、ある者はどんな物も穿つ弾丸として使ったり。「遠隔固定機能」を生かして瞬時に千キロ以上も南方にある海洋地定殻に停時フィールドを固定してとんでもない動きを見せる者もいる。

主人公は鬼に家族を殺されて封伐員を目指した

そう、「筺底のエルピス」の主人公もまた、炭治郎と同じように鬼に家族を殺され鬼を狩る側になった者。
主人公の妹は隠れることができたのか殺害現場から救出されたが、作中いわく「死体よりも死体に見えた」ほど肉体と精神が乖離した様子。門部という組織に妹を引き渡せば元通りにはならないが意識は回復すると、アロハシャツを着た老練なおっさん戦士に言われる。主人公は妹とは離れ離れになるが親戚のところで安穏に暮らすか、妹と一緒の組織に来て家族を殺した鬼を滅ぼす戦士となるか二択を迫られ、妹と共に歩む道を選ぶ。

阿鼻叫喚の絶望とそこから奮起する物語がここに

最新の第6巻の発売から1年と半年くらい経った2020年6月頃、一部Twitter界隈で「筺底のエルピス」を読んだ読者の悲鳴と面白い!声が次々と伝播していった。自分もこの影響を受けた一人で、元々作品自体は知っていたのもあり波に乗って手に取ってみて読んで総括すると「超絶の面白さと辛さが両輪となって読後にしばらく言葉を失う作品」って感じです。展開の面白さはもちろん、興味深い情報の開示のタイミングが絶妙で引き込まれつつ、辛さも込み上げる作品。容赦ない凄惨な描写も魅力的に映る。そして驚くのは面白い情報の展開で物語の世界観を横に広げることにとどまらず、包み込んだ時間の流れを停止させる漆黒の箱の仕組みから膨大に積み重ねてきた歴史という縦の広がりも見せること。なんせ第6巻のサブタイトルが「四百億の昼と夜」である。日本を拠点に活動する組織「門部」と世界中の鬼を狩るバチカンの組織「ゲオルギウス会」となぞの組織が絡み、対鬼の物語だけでなく停時フィールド持ち同士のバトルも展開される。話のスケールがアップしていくごとに無情な凄惨さを見せていく「筺底のエルピス」の続刊が2年ぶりに2021年2月に発売される。

小説どころかSF小説だと漫画に比べて手に取るハードルが高いと思うかもしれない。小説は文字を追って物語を読み取る能動的な姿勢が求められる以上それを負荷だとも捉えられる。だが負荷があるからその先に潜っていけば没入の度合いが高い物語を味わえると思う。消費エネルギーが高い分得られるリターンが大きく、だからこそ出会う本によっては読み手にとてつもない余情をもたらし、心揺さぶる1冊たり得る。「筺底のエルピス」の場合、カラー口絵と作中にある挿絵が様相を伝える助けであり、魅力が増す要素にもなっている。今のところ下記のリンクの通り悲鳴と興奮の物語だと思う。物語の結末である筺の底には凄まじい余韻となるものがあるのか、今まで以上の絶望があるのか。全9巻完結を目指す鬼狩りの物語をここに周知。

去年の流行中に次々に読者、作者、ライターが発した感想がまとめられた記録があるので貼ります。

『筺底のエルピス』(オキシタケヒコ著)既刊6巻を一気に読む人々の悲鳴と興奮の記録【ネタバレ注意】

最後に、ファンタジー戦記に興味がある方は、杉原智則先生の硬派戦記「叛逆せよ!英雄、転じて邪神騎士」電撃文庫(最新巻の3巻が2020年7月発売)を知って下さい。4巻発売されなかったらぼくもう無理です。

硬派戦記「烙印の紋章」「レオ・アッティール伝」を手掛けてきたの著者の新シリーズ。
タイトルで想起される軽いものではなく骨太な物語。構成が秀逸でヘボキャラから勇ましい人物まで面白く、または奥ゆかしく描く。
会話の勢いでごまかさず、地の文多めで紛れもなく物語で勝負している作品であるとしみじみ思う。
杉原先生の読み入る文章なので地の文の多さが魅力にしか映らない作品で最高。
物語(1巻)は、英雄の1人が災厄を阻止した平定後、敗戦国に立って目のあたりにした事実から自身の正義に問いかけ、悩み、虚飾に満ちた真実にメスを入れる物語。現地に立ってみて体感することは、真実は事実を曇らせるということ。読者の現代に通底するテーマがあり、現実に影響を及ぼす力がある小説。
イラストレーターをかえた2年ぶりの続刊に、作品を追っていた多くの読者が歓声を上げた。
回想で存在感が高まっている人物と再会しそうな4巻になりそうなので、打ち切りだったら心折れる。

ということでごちうさオーケストラやリゼロイベントの記録を書こうしたら「筺底のエルピス」のことを書いた記事となった。

スポンサーリンク