Re:ゼロから始める異世界生活21 感想

長月達平(著)大塚真一郎(イラスト)
〇あらすじ〇
魔女教との戦いが終わり、しかし、深い傷跡の残された水門都市。日常を、『名前』を奪われた人々を救うため、スバルたちは『賢者』の塔を目指して、最果ての地へと旅立つ。魔獣の巣窟であり、濃密な瘴気の漂うアウグリア砂丘。前人未踏の砂の海を越える鍵、それは囚われの『魔獣使い』――。思い出を失った鬼の姉妹、『魔女』の名を名乗る人工精霊。そして、『名前』を失った『最優の騎士』と共に、一行はプレアデス監視塔へと挑戦する!
「目覚めたとき、最初に見る顔が俺であってほしい。――それはたぶん、俺のエゴなんだよ」

食われた名前をみんなの記憶に戻すために

水門都市プリステラでの魔女教との戦いを終え、名前を食われた人達を救うための知恵を授けてくれるかもしれない賢者に出会うべく、生還者がいないとされる最果ての地へと向かう第六章が始まる。第五章は終わったが爪痕が多く残っている。多くの損害とハエなどに姿を変えられてしまった人々といった目に見える被害と、名前を食われてしまって存在はするが誰の記憶にも残っていない人達。レムと同じ被害者が多数出てきて、スバル陣営では精霊騎士も名前を食われてしまった。 死に戻りができるとはいえ死に戻っても変えられない痛みが着実に増えつつある。

と、リゼロ続刊を読むのはほぼ2年ぶり。元剣聖と剣鬼が表紙を飾る前巻を逸る気持ちで買いにいき、毎度凄惨なありさまだが第五章が終幕して、表紙の2人の感動の物語を満悦した後はしばらくリゼロを積読のままにしていた。3ヶ月おきに刊行されるリゼロのことだから、毎巻買ってはおいて、後で一気読みしようなんて考えていて2年、間にリゼロのアニメ(15巻まで)で感化され読んだ。そうだ、狂気で凄惨でたまった負荷が大きな感動となってかえってくるのがリゼロだったと思い出した。今回の感動はプリステラでのガーフィールとその家族の物語だった。
では、スバル一行はというと、こっちはいろいろいってしまっている物語だった。スバルも逝くいく。
内輪もめが殺し合いである。いや、そこはなんか魔女教の何かの影響で負の感情が増幅されているのではないかと思っていたがなるほどそういう環境だったわと。スバルとラムとアナスタシアの3人での話。スバルとラムの軽口の応酬は毎度の平常運転でいいんだけど本巻は死人が出る暴走運転ですごい剣幕だった。結末がえぐすぎる。ユーモアあるラムの辛辣な発言が、直球に切り裂く言葉の刃となる。この時のラムと、この後のスバルを介抱するラムの顔のギャップがいい!

塔にいくまでに阻んでくる濃密な瘴気と砂塵、魔獣。本巻で登場するスバルの常識からはずれた異形の存在。一番の耳よりの情報はあの剣聖ラインハルトでさえ到達できず引き返してきた。本巻でユリウスは剣聖を「人類の到達点」だといっていた。なんせ月まで飛ばされて月を蹴って地上にすぐ戻ってきた剣聖である(水門都市プリステラ編)。そんな剣聖でさえ辿り着かなかった塔に向かうのは大変困難だが、そこはスバル、目的を見失うことはない。そして本巻から第四章でスバルを殺しにかかってきた魔獣使いメィリィが同行して道中一番の功労者ぶりをみせてくれた。剣聖、剣鬼、ガーフィールがいない。襟ドナが憑依したアナスタシアの戦力は未知数だ。頼れそうな戦力がエミリア、ラム、ベアトリス×スバルだろうか。ユリウスといいたいところだが名前を食われてから力を貸してくれる精霊との繋がりが薄くなり以前の戦闘力は期待できない。総じてどこか戦力が心もとないスバル一行だが、本巻でのスバルの見えざる手とベアトリスと作った魔法の有用性が高い高い。スバルがよく言っている「E・M・T」が技の名前になってしまった。

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