読書嫌いのための図書室案内 感想

青谷真未(著) 2020/4
〇あらすじ〇
読書が嫌いな高校二年生の荒坂浩二は、ひょんなことから廃刊久しい図書新聞の再刊を任される。本好き女子の藤生蛍とともに紙面に載せる読書感想文の執筆を依頼し始めた浩二だったが、同級生の八重樫、美術部の緑川先輩、生物の樋崎先生から、執筆と引き換えに不可解な条件を提示されてしまう。その理由を探る浩二と蛍はやがて、三人の秘めた想いや昔学校で起きた自殺事件に直面し……本をめぐる高校生たちの青春と秘密の物語

各人の読書感想や人が語る本の魅力を通じて本への向き合い方が変わっていく

消去法で選んだ図書委員会に入った読書が苦手な主人公が図書新聞の編集長に任命されて、同じクラスメイトの読書好きの女子と作っていく過程で本と向き合っていく物語。
ミステリー風味も交じってるけど、本作の読書好きの女子が語る本の魅力と両想いの男女の読書感想を通じて本への見方が変わっていくのが印象的なところ。主人公と同じ気持ちで本の知らなかった魅力を知ることができた。本の力や読書の魅力が分かる小説は数あれど、読書感想という視点から丁寧に読書の面白味に迫るところは新鮮だった。登場人物と自分を重ねること、友人や他の女の子が主人公の予想とは違った登場人物と重ねて思いを文にしていること。本に書いてある描写から各々が物語の展開にはない想像をめぐらして話が弾むなど、本を中心にして繰り広げられる多角的な本への言及がよかった。
場と心の描写を能動的に読み取るからこそ幅広い感想が出てくるということが読書の魅力であり面白さなのだと思った。

数多ある物語を、いつか来るかもしれない未来のカタログにばかりしておかないで、明日動き出すための参考書にしてもいいんじゃないか

P229

本をたくさん読んで主人公以上に引き出しにヒントがあるヒロインが立ち往生している時、彼が期待する物語の主人公像をあげて背中をおすところがかっこいい。読書が苦手な主人公が本好きの彼女にこそ響く声掛けをして気づかせて、期待していると示す姿勢が。
読書が苦手といっても遠ざけたいと思ってはいなくて、周りが語る本について疑問点を口にして理解をしようとする姿が一貫していたように思う。

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